みつばグループ

製造業

しごと紹介

1. 播州百日どりに地域振興の願いを込めて

「企業には出されへん本物の味が絶対につくれるはずや――そう何度も自分たちに言い聞かせ、播州百日どりを使った商品開発にチャレンジしたんです」

みつばグループの代表を務める安藤松子さんは、多可町加美区の特産品づくりに着手した20年前をそう振り返る。

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平成8年10月、東・北播磨では初めてとなる道の駅(道の駅 R427かみ)が加美町(当時)にオープンすることになった。開業に先立つ平成7年に加美町主催で「かみ特産品開発講座」が設けられ、安藤さんは婦人会のメンバー3人でみつばグループを結成し、講座に参加した。

商品開発にあたり、安藤さんは地元ブランドの「播州百日どり」を主体にしようと最初から決めていた。

「以前JAみのりに勤めていたとき、当時の職員たちが加美町の養鶏農家と力を合わせて世に出したのが播州百日どりなんです。関わった人たちの苦労を知っているので……地域振興の願いを込めて何としても使いたかったんです」と経緯を語る。

播州百日どりはJAみのりが独自に開発した鶏種で、多可町加美区の養鶏農家が自然に近い開放平飼い鶏舎で飼育している。肉のうま味の素であるイノシン酸がピークに達するまで約100日かけてのびのびと育てるため、肉質は繊維質が細やかで口当たりが良く、噛みしめるほどにうま味が広がるのが特長だ。

安藤さんが商品開発でヒントにしたのは、昔ながらの地域の料理。

「私が生まれ育った加美町の集落では、地域で催しをするたびに混ぜご飯を振る舞う習慣がありました。それを思い出し、『そうだ、百日どりで混ぜご飯をつくろう』と考えたんです」

利益優先の企業にはできない手づくりの味を追い求め、試行錯誤の末に誕生した商品が「とりめしの具」。炊き上がった温かいご飯に混ぜるだけで、播州百日どりと地元産の野菜が入った混ぜご飯が手軽に味わえる。

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2. 何よりこだわったのが「お母さんの手づくりの味」

「いまやコンビニやスーパーで何でも手に入る時代。だからこそ私たちが目指したのは、お母さんの手づくりの味です」

そう力を込める安藤さんは30代の頃にご主人を事故で亡くし、仕事もできずにふさぎ込む日々が続いた。そのとき、立ち直るきっかけとなったのが台所に立つ母の「音」だった。

「コトコトコトコト……母親がいる台所からまな板を打つ包丁の音が聞こえてきたとき、『ちゃんと生きなあかん』と励まされているような気がして。食べ物にはそういう力があると思うんです」

この安藤さんの思いを受けて、みつばグループでは手作業による商品づくりに徹している。約10名のスタッフが包丁とまな板で食材を毎日コトコト調理し、計8つの大きな鍋で2時間かけてぐつぐつと煮込んでいる。

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たっぷりのいり子と昆布のおだしで昔ながらのふるさとの味を守り、人工甘味料などの添加物も一切使用しない。

商品に対するこだわりは包装にも表れている。

「一生懸命に手づくりした商品をビニールの袋に詰めたくなくて、代表商品の『とりめしの具』は本物の竹の皮で包むことにしました。当初役場の方に相談した際は〝竹の皮風〟を紹介されたのですが、本物やないとあかんと妥協せず探し回って見つけたんです」

「とりめしの具」が完成して売り出した当初のこと。50代の男性が「涙が出るほどうまかったです」と、どこかしんみり感想を伝えてくれたという。

「もしかすると、その方も母親の味を思い出されたのかもしれません。私たちのこだわりが伝わったと思い、涙が出るほどうれしかったです」と安藤さんは回想する。

いまでは「とりめしの具」をはじめ、「やきとり」「焼きささみ」「和風コラーゲン」など播州百日どりを使った複数商品を展開し、主に北播磨のスーパーや道の駅などで販売している。

3. 「こだわり×ビジネス」を両立させてこそ

しかし安藤さんは、こだわりだけで事業を続ける難しさも熟知している。播州百日どりを市場に流通させるためには地元の生産者をはじめ、食材を扱うバイヤーや販売店、調理・加工して顧客に提供する料理屋や食品加工会社の力が不可欠となる。

「そのすべての循環が回ってこそ産業が活気づくんです。だから私たちは手づくりの味を守りながら、同時にビジネスとしても成立させなければなりません」

いまみつばグループでは、手づくりに徹しながら可能な限りの量産化にチャレンジしている。

「お蔭様でここ最近は出荷数が増えてきたので現場は大忙しです。幸いスタッフの皆さんがテキパキと動いてくれるので出荷に対応できています」と感謝する。

4. みつばグループの後継者を募集

「播州百日どり」「お母さんの手づくりの味」「地域活性化」――安藤さんの並々ならぬ思いを原動力に、みつばグループは20年の歳月を積み上げてきた。

「でもこの先もずっと私が引っ張っていくことはできません。だからグループの活動を引き継いでくれる若い方にぜひ来てほしい」と期待する。

まず現場に入って仕事内容を理解してもらいながら、その人ならではの感性でみつばグループの未来を展望し、「こうしたい! という思いをどんどん提案してほしい」と言う。

「これまでは私のこだわりでやってきましたが、次の世代の人たちに押しつけるつもりはありません。その人ならではの思いを持って、事業をさらに発展させてもらいたいんです」

その上で、やはり守り継いでほしいのは「手づくり」の部分。

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「毎回30キロのごぼうの水洗いから、包丁でコトコト手切りするところまでぜんぶ自分たちでやっていますが、あくが入り込んで手が真っ黒になるんです。厳しい作業ですが、本物の味をお客さんに提供するためにも手づくりを今後も大切にしてほしい」と望みを語る。

さらに現場だけでなく、ホームページやSNSツールなどを使いこなし、同グループの活動や商品を積極的にアピールできる人も求めている。

みつばグループの地域に根づいた活動に共感し、その志を途絶えさせずに発展させる――そんな意欲と思いにあふれる人の参加がいま、希(こいねが)われている。




経営者紹介

みつばグループ代表 安藤松子さん

1. 故郷を残したい一心で

私が播州百日どりに強くこだわるのは、突き詰めると「故郷を残したいから」――このひと言に尽きるんです。

生まれ育った旧加美町は昔から養鶏が盛んで、私自身も鶏とともに育ちました。その養鶏業を盛り上げるために昭和53年、JAみのり主導で播州百日どりが誕生しました。

播州百日どりの加工センターは最盛期は100名ほどのスタッフが働いて、それは活気があったんです。

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ですが次第に出荷数が減少し、当時の勢いが失われて……関わった人たちがどれほどの思いで播州百日どりを生み出したのかと思うと、徐々に元気がなくなっていく姿を見ているのが本当に忍びなかった。

「何としても故郷を残さなあかん! 地域に活力を取り戻す可能性を秘めているのが播州百日どりや」――。

そんな思いがあればこそ、「かみ特産品開発講座」に参加し、播州百日どりで特産品をつくろうと思ったんです。

2. 養鶏業の素晴らしさも知ってほしい

みつばグループの活動を20年続けてきました。そのあいだに養鶏農家は高齢化が進み、次代を担う若手の生産者も少なくなっています。

播州百日どりをもっと広げていくためには、生産現場が活性化しないことには始まりません。

だから私たちは手づくりの味を守るとともに、事業で得た利益を生産現場に還元しなければなりません。こだわりの商品をつくってお客さんに喜んでいただくだけでなく、ビジネスとしても成り立たせて地域に潤いを与えてこそ、本当の地域活性化であり、故郷を残すために絶対に必要なことだと思っています。

自然あふれる田舎で鶏を育て、全国の人たちにその魅力を知ってもらう――私たちの事業だけではなく、「多可町には養鶏業という素晴らしい仕事があるんや」と、若い方にぜひ知ってもらいたいですね。

3. すべての経験がいまに活きる

主人を亡くしたとき、趣味の生け花をして暮らしていったらどうやと親類が勧めてくれたんです。それで京都の生け花の専門学校に通わせてもらい、卒業後は住民センターや自宅でいけばな教室を始めました。

たくさんの生徒さんに恵まれて、12年ほど教室を続けました。同時に婦人会の副会長をさせてもらうなど地域との関わりも持っていました。

そんなとき、婦人会を通じて「かみ特産品開発講座」が立ち上がることを知ったんです。「播州百日どりをもう一度盛り上げたい」「故郷を残したい」――かねてから抱き続けていた思いを実現させるために婦人会のメンバーとともに参加することに決めました。

それからはや20年。

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養鶏業が盛んな地域で育ったこと、JAみのり勤務時代に播州百日どりが誕生したこと、私を救ってくれた母親の台所の「音」……振り返ると、すべての経験がいまに活きていると感じます。

みつばグループの事業を続けるのは正直大変な面もありました。この活動を未来につなげていくためには、新しい時代を読み解く感性、変化に対応する柔軟な姿勢、そして何より大きなパワーが必要です。可能性あふれる若手の方にバトンを託し、事業の継続と発展を目指していきたいと思います。



従業員紹介

藤村中子さん 入社12年目
以前は道の駅 R427かみで働いていたのですが、自宅から遠いこともあって転職を考えていたとき、安藤さんに声をかけていただきお世話になることになりました。

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午前中は主に仕込みの時間で、現場は私語を慎み緊迫したムードに包まれていますよ(笑)。手づくりの味を守るためにすべて手作業でつくっていますから、段取りが勝負なんです。

ごぼうを洗うチーム、鍋の準備をするチーム、肉を切るチーム……安藤さんの仕切りのもと、それぞれが一糸乱れぬ連携プレーで作業に没頭しています。

お鍋で具材をぐつぐつ煮込んだあとは、真空パックに袋詰めし、殺菌のための熱処理や冷却作業を行います。午後からは商品を竹の皮で包んだり、パッケージにシールを貼ったり、配達に回ったり、それぞれの持ち場で作業を続けます。

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仕事のやりがいの一つは、各地のイベントに参加できることですかね。周りの知り合いからよく言われるんです。「いろんなところに行けていいね」って。

いろんなイベントに出店して商品を販売したり、試食会を開催したり。家にいてはできない経験をさせてもらっています。

「とりめしの具」のおにぎりを試食してもらい、「おいしい」と言ってもらえると、苦労してつくった甲斐があったと本当に嬉しいですよ。

この職場は年齢層が高いこともあって、若い方に馴染んでもらえるか心配な面もありますが、まずは現場で一緒に働きながら仕事を知ってもらいたいですね。

私たちはパソコンを使うのが苦手なので、みつばグループの活動や商品をホームページで積極的に紹介してもらったり、イベントのチラシをつくったりするのが得意な方も大歓迎です。

若い方のセンスを存分に活かしていただきながら、一緒になって播州百日どりを世の中に広めていけたらと願っています。

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ライター:高橋 武男



求人情報

求人

応募・お問い合わせは下記番号まで

TEL : 0795-20-1263


企業情報

会社名称 みつばグループ
本社所在地 〒679-1211 兵庫県多可郡多可町加美区寺内251
HP http://www.mituba.jp/
事業内容 播州百日どりを使った とりめしの具販売